だれかのなにかに役立てるウェブ制作者YoTaの趣味ブログ

アフィリエイトの仕訳って、どのくらい実現主義にこだわるべきなの?

ブログサイトやニュースサイトなどを運営していて、戸惑う仕訳の一つが、アフィリエイトです。

アフィリエイトは一つ一つの成果が1ヵ月の間に細かく発生するため、簿記の概念「実現主義」に厳密に従うと、帳簿が恐ろしいことになります。

いったい、アフィリエイトでは、どれくらい実現主義にこだわって仕訳するべきなのか、考えていきたいと思います。

個人事業主のアフィリエイトの仕訳について

実現主義って何?

実現主義とは、簿記の考え方の一つで、モノやサービスの代金である、現金・売掛金などを受け取ること(債権)が確定した時点で収益を計上する、というルールです。

たとえば、ウェブサイト制作の案件においては、契約を交わした時に売上(売掛金)が発生するので、その時点で帳簿づけをする、ということです。そして、ウェブサイト制作の納品後、代金を振込してもらった時に、売掛金と預金の仕訳をします。

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
6/1 ウェブサイト制作 契約 売掛金 100,000 売上 100,000
7/15 ウェブサイト制作 振込 普通預金 100,000 売掛金 100,000

※ここでは源泉徴収の概念は無視しています。

★実現主義と発生主義の違い
発生主義:費用を計上する時のルール
実現主義:収益を計上する時のルール

アフィリエイトの仕訳は原則、実現主義に従うべき

アフィリエイトの仕訳でも、青色申告の複式簿記を選択している場合は、原則、実現主義に基づかないといけません。そのため、売上(売掛金)が確定した時点で仕訳をして、いわゆる掛計上をする必要があります。

ただ、この時に気になることが、はたしてどのくらいの実現主義に従うべきなのか、という疑問です。

厳密には、一つ一つの取引に対して仕訳するのが実現主義

たとえばamazonアフィリエイトをやっていたとします。

この時、1/1~1/31の間に28件の成果があって、7,000円のアフィリエイト報酬が生じたとします。

これは、実現主義に基づいて厳密に考えるならば、7,000円だけの報酬を仕訳するのではなくて、28件の成果それぞれに対して仕訳をする、という考えもできます。

しかし、現実的には、そんな細かい仕訳をしていたら、経理作業だけで一年が終わってしまいます。

アフィリエイトの仕訳は、実行上、一か月分をまとめて扱える

実際のアフィリエイトの仕訳では、一ヶ月分の報酬金額が確定した時に、売上発生として仕訳することが一般的となっています。

なぜかというと、日々の一つ一つの取引の成果は、じつはキャンセルなどが入ると消滅したり、のちほどその月の成果全体に%配分のボーナス報酬が与えられたりして、「その日時点においては報酬額が未確定」という見方ができるためです。

また、アフィリエイトでは、一ヵ月の成果が一定以上の金額にならないと振込がされないため、この場合も「その日時点においては報酬額が未確定」という見方ができるのです。

一ヶ月分の成果確定=アフィリエイトの売上、というわけです。

しかし・・・これは実現主義で考えると、なんだか腑に落ちない感じはあります。

実現主義における確定・未確定の曖昧さ

「金額(振込)が未確定だから仕訳しなくて良い」、というのは、厳密にはちょっと違うようにも感じます。

なぜなら、取引においてキャンセルなどが入るのは他の業務でも同じことですし、キャンセルされた場合は、その仕訳もあらためてするのが、厳密な実現主義だからです。

たとえば、先ほどのウェブサイト制作において、「契約はしたのだけど、途中でクライアントと揉めてしまい、案件倒れしてしまった」という場合、もしくは、「最終的な振込金額が変わってしまった」という場合、その取引は未確定だったから仕訳しなくて良い・・・というわけではないはずです。

そもそもの取引自体を仕訳から消すことは、実現主義に基づくやり方ではないでしょう。

アフィリエイトも同様にして考えると、もし振込には至らずとも、その日ごとに取引自体は発生していますので、それを記録しなくて良いというのは、少し乱暴な考えにも捉えられます。

・・・とはいえ、アフィリエイトの仕訳を一つ一つやっていたら、実行上、頭がハゲあがることも必至ですので、そんな厳密さに従うことは、もちろんバカげています。

それに、確かに、「報酬額確定=取引が実現=売上発生」という風に考えることも、決して間違いではないので、だったらスムーズなやり方を選択したほうがベストです。

アフィリエイト会社は1ヵ月ごとに確定報酬額を教えてくれる

すべてのアフィリエイト会社ではないのですが、大手のアフィリエイト会社であれば、一ヵ月ごとの確定報酬額について、管理画面で確認させてくれたり、メールなどで連絡してくれます。

つまり、繰り返しになりますが、「アフィリエイトの仕訳は1ヵ月ごとに確定した金額を取り扱って仕訳していく」というのが、一般的なのです。

アフィリエイトの仕訳

たとえば、先ほどの例を使って、amazonアフィリエイトで仕訳をしてみましょう。

3/1に管理画面が更新されて、「1/1~1/31に得た成果7,000円が確定」と表示されて、そのお金が3/31に振込された時、その仕訳は下記のようになります。(※amazonアフィリエイトでは、手数料300円が差引されます。)

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
3/1 amazonアフィリエイト 1月分 売掛金 7,000 売上 7,000
3/31 amazonアフィリエイト 1月分 振込 普通預金 6,700 売掛金 6,700
3/31 amazonアフィリエイト 1月分 振込 支払手数料 300 売掛金 300

こちらの仕訳を見た時、「1月分の成果なのだから、売掛金は1月に仕訳するべきなんじゃないの?」と疑問を感じる方もいるかと思います。

しかし、1/1~1/31の集計が終わり、amazonが確認をした後、その確定アナウンスを3/1にしてくれてますので、上記のようにしてもOKというわけです。

そもそも実現主義の厳密さにこだわるなら、先述しましたように、一日ごとに仕訳しなくてはならないので、多少は曖昧でも、実行上はOKなようです。

ちなみにアフィリエイトを趣味でやっている方や、あまりにも報酬が小額な場合は、上記を雑収入のように仕訳しても問題はないです。

税務署側の気持ちになって考えてみる

ここで、いったん税務署側の気持ちになってみましょう。

税務署側としては、もちろん実現主義に基づいて、しっかり記帳してくれて、ちゃんと税金を払って欲しいわけです。なにしろ、簿記をして、みなさんに報告書を提出してもらう目的は、税金の徴収のために他ならないからです。

つまり、ポイントは、税金です。

税務署的には「脱税・税金の取りこぼし」さえなければOKで、仕訳の中で多少の日付ミスなどがあっても、最終的には税金の計算に誤差がなければ、さしたる問題ではない、ということです。(もちろん意図的な日付改ざんなどはダメです。)

ただ、これは逆に、少し乱暴な捉え方をすると、「仕訳の中にしっかりルールを定めていて、きちんと税金計算しています」というように主張できるロジックさえ持っていれば、仕訳の中でもある程度の融通は効かせることができる、ということです。

先ほどの例で言うなら、amazonアフィリエイト1月分の売上記録を2/某日にしようが、3/1にしようが、その後にも同じように、一定の決まったルールで続けているなら、どちらでもOK、ということです。

ちょっと腑に落ちないところもありますし、そんなことはダメだ!って声をあげる方もいるとは思いますが、しかし、アフィリエイト自体がそもそも特殊な業態であり、そのルールも一義的に明確ではないため、実行上は、人によって、さまざまな形態の仕訳が存在してしまうとは思います。

いっそアフィリエイト業界側でルールを統一させてよ・・・とも思う

個人的には、ユーザー側に色んな解釈が生まれる状況になっている時点で駄目なので、アフィリエイト業者全体と税務署で同一のコンセンサスを取って、「アフィリエイトの仕訳はこうするべし!」という絶対的な基準を作るべきだと感じています。

ユーザーをどうこう責めるのではなく、業界自体の統一を図るほうが先です。

そして、もしできることなら、「アフィリエイト業者からの振込時点=取引の確定」と公言してもらえれば、仕訳が一つで済みますので、全アフィリエイターが喜ぶと思います。(というか、税理士さんとかもそのほうが助言しやすくなって、みんなハッピーだと思う。)

ただまあ、とりあえず現状は、アフィリエイトの会社ごとにルールを定めて帳簿づけをする、という方法が正解なのだと思います。

amazonアフィリエイトは成果確定の連絡とかくれるんですが、他のアフィリエイト業者だと、そういう連絡がなかったり、月ごとにまとめていなかったり、色々なスタイルがあって、なかなか一義的にならないのが現状のようですので・・・。

簿記には色んなやり方がある

簿記には、そもそも基本的に色んなやり方があります。

たとえば法人で、職員の通勤範囲外の交通費(取引先の打ち合わせなど)を経理処理する際、その日ごとの精算をして仕訳してもOKですし、一ヵ月に一回の精算としてまとめて仕訳してもOKです。

後者の一カ月ごとの場合は、その明細と事実が追いかけられるように書式を用意する必要がありますが、べつにどちらでも問題はないのです。

これもまた発生主義の観念で考えると「・・・うん?」と疑問になりそうな感じですが、簿記は、ある程度の効率化を考えた簡略化・臨機応変な対応はできるようになっていますので、あんまり細かいところにこだわりすぎないほうが良いです。

一番良いのは、いつでも相談できる税理士さんと仲良くなっておくと、すぐに聞けるので、ラクです。

まとめ

複式簿記において大事なことは、アフィリエイトの仕訳方法には何通りもの概念が生まれるため、実現主義に基づきながら、「自分の仕訳ではこうする」という一義的なルールをしっかり定めて、それをちゃんと継続することです。(あんまり無茶苦茶な自分ルールはもちろんダメです。)

まあ大手のアフィリエイト会社であれば、成果確定と振込のレポートを大体くれますので、それに従えばOKだと思います!

個人事業主のことをもっと詳しく知りたい方へ!

著者がweb系の個人事業主・フリーランスを実際に一年間やってみた時の各種手続きについて、下記のページでまとめています。

記事の中では、自分の実体験に基づいて、「開業届(青色申告の届け出)⇒日々の業務・取引⇒日々の帳簿づけ⇒年末の青色確定申告」までの具体的な手順について、詳しく解説しています。これから個人事業主・フリーランスを考えている人は、ぜひ参考に!

ページ上部に戻る